それ以外の方法を僕は知らない





…それにしても、克真くんはいつ帰るんだろう。



私は厚意で花壇の世話をするべく毎朝8時に学校に着くように来ているけれど、その時間には既に彼はそこに座って窓を眺めている。

帰りだって、私が帰る前に彼が席を立つところは見たことがない。



現に今、彼はまだこの教室にいる。


昼休みは隣のクラスの男の子と一緒にお昼を食べているのは知っているけれど、それ以外で一緒にいるのは見たことがない気もする。




下館 克真。

名簿にある彼の名前をそっと指でなぞりながら、心の中で彼の名を口にする。




───彼は、不思議な人だ。


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