銀色ハウスメイト



「かくかくしかじかあって───…」





──────ドーン!





「っえ…?」



続くはずの言葉を、思わず中断した。


さすがに2回も銃声となんて間違わない。

れっきとした花火の音だ。



「おー。綺麗だね」


「うん、綺麗だけど…。でもなんで?もう終わったはずじゃ…」



家のベランダから少しだけ見えた花火を思い出して言う。



「ああ、知らない?この祭りでは花火2回上がるんだよ。最初と最後に」



由利くんの答えに驚き。

わたしの知っている花火大会は、お祭りの最後に花火が打ち上げられるものだと思っていたから、こうゆう地域もあるんだなあって。



「2回も見れるなんていいね」


「そうだねー」



由利くんの背中で、夜空の花火を見上げる。

いま打ち上げられているのは、わたしがダントツで好きな花火だ。


錦冠菊(にしきかむろぎく)。


< 128 / 144 >

この作品をシェア

pagetop