銀色ハウスメイト
わたしに向けられた視線は、合わせる間もなく隣の由利くんへと向けられる。
「…由利?」
少しだけ驚いたようにつぶやいた桜井くん。
そうだ、わたしたちは同じ学校。
わたしとは違って、桜井くんは由利くんと面識があるのかもしれない。
「やっぱり桜井だったんだ。電話の声、ちょっと聞こえてた」
由利くんも桜井くんのことを知っている様子。
むしろ、仲が良さそうだと思った。
「ふたりは、友達?」
思わず尋ねると、答えてくれたのは由利くん。
「そうだよ。同じクラスだし」
「えっ、そうなの!?」
「うん。ね?桜井」
由利くんの言葉に釣られて、桜井くんを見ると。
………あ…。
「……そうだな」
顔を上げないまま言った桜井くんの声は、ひどくひどく感情がない。
桜井くんの視線は、わたしの右足へと注がれていた。