銀色ハウスメイト
「…上がりました。」
着てみた桜井くんの服は予想していたよりも少し大きくて。
上は袖が大きく開いていて捲らないと手が出てこない。
下は10センチほど丈が余っていた。
だけど、それもそのはず。
見た感じだと桜井くんの身長は170後半くらい。
わたしは半年前に身体測定で測ったきりだけど、そのときは158だった。
つまり、私たちには約20センチの差があるのだ。
ソファに座ってスマホを見ていた彼は、首を上向きに180度回して逆さにわたしの姿を捉えると、ひとこと。
「…でかいか。」
「……服ですか?」
わたしの問いに、桜井くんはこくりと頷く。
「……まぁ、そうですね。大丈夫ですけど。」
「ふーん。あっそ。」
「…そっちから聞いといて……」
「は?なに怒ってんだよ。」
桜井くんの『意味がわからない』とでも言うような目に自然とため息が出た。
どうして怒ってないと思えるのか。
桜井くんはほんの数分前の出来事を、覚えていないのか。
……それとも忘れているのか。
逆にこっちが教えてほしい。