銀色ハウスメイト



「ほら、はやく帰るぞ」

「了解です!」



立ち上がるタイミングで差し出された桜井くんの手を取り、由利くんへのメッセージを送信した。

加筆修正しまくりのメッセージを。

変な文はない。たぶん。



「やっぱりブルーベリーチョコシェイクはおいしいです」

「よかったな」

「桜井くんもひとくち飲みますか?」

「いらない」

「ええ、おいしいのに……あっ」



手元で桜井くんのスマホが震えた。



『咲和も実行委員とか楽しそうだな。がんばろーね』



……よかった。

体育祭実行委員も、無事にやっていけそうだ。


そしてもう片方の手は、立ち上がったときのまま、ごく自然に。



「ふふっ。わたし、がんばります」



暑がりじゃないんですか?桜井くん。 



「……楽しそうじゃん」

「はいっ!桜井くんの応援団姿も楽しみにしてますよ!」

「……。」

「……へ?…ところで、今日の夜ご飯何にしますか?」

「鍋」

「季節外れですね」



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