銀色ハウスメイト



「……ちなみに桜井くんは、なんのお鍋がよろしくて?」

「ちゃんこ」

「ちゃんこ!?桜井くんはおすもうさんなんですか?」

「黙れよ」



こんな後から思えばしょうもない言い争いが、たぶん15分は続いた。

本当めちゃくちゃ迷惑な話。


でもこんなに頑固な桜井くん、わたし今までで見たことないよ。

どんだけちゃんこ鍋食べたかったの。



けれど、こんな言い争いをいつまでもしてるわけにいかず。

終止符を打ったのは、わたしだった。



「桜井くん」

「なに」

「ここはもう、じゃんけんです」

「じゃーんけーん」

「わわわっ、はやい…!」



ぽーん。



桜井くんが出した手はパーの形。

わたしが出したのは、



「……………ぐー…」


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