銀色ハウスメイト


なんで忘れちゃってるの。



 
「ふーん。ごめん。」


「……スカスカの謝罪…」


「……ねみぃ。今度こそ風呂行くからな。」




そう言うと桜井くんはわたしが止める間もなくお風呂へと行ってしまった。


後ろから桜井くんのため息が聞こえてきたけど、なんでそっちがため息なんか吐いちゃってるんだ。




桜井くんのため息に負けないように。
いや、桜井くんに聞こえるように。


わたしはお風呂場の彼に向けて「はあ!!」とむしろため息ではなくなってしまったものを叫んだのだった。



……もう桜井くんはお風呂場からお風呂にいることも知らずに。









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