銀色ハウスメイト
 


「ちょっと前髪あげろ。」




桜井くんに言われた通り、額に触れていた手を上へと持っていき、額を露わにする。


無防備な状態になったわたしの額に、今度は大きな桜井くんの手が触れた。




「……。」


「どうしたんですか?」




額に触れた瞬間、怪訝な顔をして黙るものだから耐えきれず聞いてしまった。

そんなわたしを一瞬だけ見た桜井くんは呆れたようにわたしの額から手を離した。


そして。




「ほらな。」


「え。なにがですか?」


「お前、手も熱いだろ。そんなんで測っても分かんねーよ。」




桜井くんは「そこで待ってろ」とだけ言って洗面所の方向へと立ち上がった。



まさか熱があったなんて。




「…ッ、ゴホッ」



自覚した途端に咳なんてものは出始めるからほんとう不思議だ。









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