銀色ハウスメイト


キンキンに冷えた手でスカートを握る。


コートを羽織ってくるのさえも忘れてた。

こんな真冬に羽織っているのは薄いカーディガンだけ。

スカートから出た足に刺すように吹く雪と風が痛い。痛すぎる。


でもまあ、感覚があるだけまだマシなのかなあ…。


ふわふわする頭でそんなことを考えた。

眠気と寒さと疲れ。


だんだんと体が限界に近づいてくるみたい。



「……っ…」



そのとき、冷えきったお腹が鈍く痛み、その場から動けなくなってしまった。

お腹を抱えて蹲り、必死になってお腹を摩る。


蹲って目を閉じると、視界がぼんやりしてきて突然に襲ってくる睡魔。



「し、死ぬ」



それだけは嫌だと思っているのに、体は言うことを聞いてくれない。

意思とは反してゼロになっていく視界。



__________... お腹の痛みも分からなくなったとき、わたしは死んでいた。






__________... カンカンカンカン…





…… と思う。

この音を聞いていなければ。


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