銀色ハウスメイト



なに?この音。


消えかけていた意識を呼び覚ましてほんの少し目を開ける。



ぼんやりした視界に浮かぶのは……人?

正直言うとぼんやりしすぎて夢なのかどうかも怪しい。

でも、だんだんと鮮明になっていくそれは、


人だ。




それを認識したとき、わたしは立ち上がった。


さっきまでの腹痛と眠気はどこへ。


次の瞬間にはその人の元へと走り出していた。




何も持っていないわたしに頼れたのは、人しかいなくて。

でも、こんな真夜中で吹雪の中を歩いている人なんて多くはなかった。


けど、いた。



お願いします、わたしを助けてください。





「…っあの!……え、」


「は?」




 
ズドン!


鈍すぎる音が響く。




…… 転んだ。


雪の積もった地面がこんなに滑りやすいとは思わなかった。

目の前の人まであと1メートル。


地面と当たった場所からヒリヒリと痛む。



痛い。そして恥ずかしい。



でも、わたしには恥ずかしがってる場合じゃないんだ。




雪まみれの体を起こすと、わたしはこう叫んだ。





「っ、お金とスマホの充電と家が無くても生きていける方法を教えてください!」





おそるおそる顔を上げたわたしの視界に飛び込んできたのは。


見たこともないくらい端正な顔に、

雪の中に紛れるような銀色の髪だった。







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