銀色ハウスメイト
「桜井くん」
「うん」
……焦点あってるの?
一応、桜井くんの目の前で手を振ってみたら手首を掴まれて痛かった。
それでも、フラフラしてる上にボーッとしながら目を擦ってる姿にこれは寝てたな、って。
「…腹へった」
「さっきまで寝てたのにですか?」
「見てたわけ?」
「見てない…、ですけど、同じ部屋にいるんですからね」
3秒満たないくらいにはわたしと目を合わせたあと、桜井くんはキッチンで手を洗い始める。
「え、え、寝ぼけすぎ…」
「はあ?手伝おうと思って来たんだよ」
「え?…、寝ぼけすぎじゃないですか、いたっ」
もう一度同じ言葉を繰り返したわたしの頭には、桜井くんの右手がヒットしていた。