銀色ハウスメイト
「じゃあ桜井くんはサラダ用の野菜切ってください。…って、包丁使えますよね?」
「バカにしてんのか」
「あ、使えるなら良かったです」
桜井くんの前にまな板、包丁、それからきゅうりとトマトを用意して、わたしも持ち場につく。
鍋にシチューのルーを放り込んでおたまでよく混ぜる。
こうゆうのはルーを刻むとムラなく溶けるって聞いたことがあるけれど、まぁいいや。
それからしばらく煮詰めて、美味しそうな香りが立ち込めて来た。
少しだけシチューから目を離して、桜井くんの様子を伺うと、何やらトマトを怪訝そうに見つめて、
「…なぁ、」
「なんですか?」
「トマトってどうやって切んの?」