銀色ハウスメイト
トマト?
ああ、プチトマトだからかな。
桜井くんに教えようと、その場から動く。
________そのとき手に触れた、硬い感覚
「プチトマトは______、っあ」
続く言葉は「切らなくてそのまま乗せてください」だったはず。
けれど、わたしの口から出たのは言葉でもなんでもなく、何も。
ただただ口が開いただけだった。
繰り広げられるスローモーションのような世界を見つめることしかできない。
分かったのは、動こうとしたときに鍋の取っ手に腕が引っかかってしまったこと。
ああ、いつもならこんなミスしないのに。
どうして桜井くんが手伝ってくれている日に失敗なんてしてしまうんだろう。