銀色ハウスメイト
「後で氷買いに行って来ます」
「……家にねぇの?」
「作ってない…」
「ふーん。……ふっ、落ち込みすぎじゃね」
桜井くんはわたしの顔を見て、途端に笑った。
きっとあり得ないくらいにはひどい顔をしているのだろう。
「……なんか、あれでした。ジェットコースターで落ちる時のふわって感覚と同じ」
「は?」
「心臓ばくばくしてる…」
右手で心臓の鼓動を感じようと手を当てると、ドッドッドッと不規則なまでにハイスピードな規則的な音が聴こえた。
そんな風にため息を漏らすわたしの前で、桜井くんは、場違いにも笑みを溢したのだった。