灯籠送り
蝉時雨が私には丁度いい。
エンジンの音、足音、工事現場の音、
それらをかき消す程の夏の蝉たちは
短い命を萌やしている。
蝉よりも長い命であるはずの私は
その声と肌にこびりつく暑さに打ちひしがれている。
床に転び、張り付く肌、そっと頭を倒すと
そうしないとわからないホコリが踊っている。
ちょうど顔に当たる陽、上がってゆく体温。
そのどれもが意味を持つ休日の昼。
瞼を閉じるが、目の前は未だ明るい。
足元は真っ暗で見えない。
太陽に目が慣れてしまって、
部屋の中が見通せなくなった。
ぽつぽつとたくさんの光が徐々に増えていくようだった。
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