どうして・・

···電話?


式場を決めたり
招待客を決めたりするのは、
大変だけど、楽しかった。

ドレスや打ち掛けは、
実家の母と新のお母さんと
三人で見に行き選んだ。

お母さん達も仲良くて
私も嬉しかった。

式まで、もうすぐ····の夜···

新に« 美春 »から連絡があった。

この時、なぜ美春の連絡先を
削除していなかったのか
疑問を持つことはなかった。
幸せの絶頂にいたからなのか····

着信を無視する新に
「出たら?」
「············」
「新?」
「出ても平気なの?彩羽は?」
「不安なんてないよ。
だって、新は私の旦那さんになるんだよ。」
「····そう··だな·····わかった。」
と、言って新は出る
「··········」携帯を耳にあてたまま
何も言わない新
「新?ごめんね、急に。」と、美春
「なに?」
「·····なっ···なんでもないの?」と、美春
「なら、もうかけてこないで。」
と、言うと新は電話を切る。

新のこんな怖い声を聞いたこと無くて
私の顔を見て、新が
「彩羽?」
「ごめん、新があんな声だすの
知らなかったから。」
「ごめん、ごめん。」
と、抱き締めてくれて
「彩羽には、絶対にないよ。
彩羽が大好きだから。」
新から始めて好きだと言われて
「私も好き、新が好き。」
と、言うと
「嬉しい。」
と、言われてベッドに連れて行かれた。
その日も、たくさん愛されて
意識を失ってしまった。

私達は、新居に移り住んでいた。
新の仕事場と
私の仕事場との中間の場所に
見つけた物件だった。

2LDKで、私も新も
とても気に入っていた。

私は、新を信じていたし
疑う事などなかった。

この日以来、
新からも美春の名前を
耳にすることはなかった。
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