どうして・・
ご
···現れない新郎
両親に見送られ
式場に入り、スタッフの方に
挨拶をして準備に入る。
式は、
真っ白なウェディングドレス
披露宴会場でお客様をお迎えする時
白無垢を着る
白無垢は、私の父の願いだった。
お色直しでは
カクテルドレスを
私の母が選んだ物と
新のお母さんが選んだ物を
着る事になっていた。
三人で決めながら
ワイワイと楽しかったなぁ
と、一人含み笑いをしていると
スタッフの方に訊ねられて
あの日の事を話すと
スタッフの方達も笑ってくれた。
「お姑さんと仲が良いですね。」
と、言われて笑顔になる。
話しながらでも
着々と準備が進む
全身を鏡に映して貰い
感激で涙が溢れる
「ありがとうございます。
こんなに綺麗にして頂いて」
「いいえ、日垣様が
元々綺麗な方でしたから
すごく遣り甲斐がありました。」
と、言われて
改めてお礼を言うと
スタッフの方達は
後程と言って控え室を出て行った。
新もできたかな?
新、綺麗だと言ってくれるかな
と、考えていた。
どのくらい、そうしていたか
« コンコン »
と、ドアを叩く音に
« はい »
と、返事をする
新かなと思っていると
母の彩で
「お母さん、どう?」
と、立ち上がり母に見せるが
何も言わない母に
「お母さん?」
と、母親をみると
母の目には涙が溜まり
溢れていた。
感動してくれていると
思っていた·····ら····
「いろはっ、彩羽っ···」
と、言う母に
「お母さん、どうしたの?」
「彩羽!来ないの、来ないのよ!!」
と、訳のわからない事を
「ああっ、おばあちゃまの事?」
と、言うと
首を横にふる母に
「どういう事?」
「新君は、来ないの。」
「新が?こない?えっ、なぜ?」
「新君、一週間の間
一度も実家に帰ってないと。」
「えっ、昨夜、LINEしたよ。」
と、携帯を取り
LINEを開くと·····
彩羽が送ったLINEは既読には
なって····いなかった······
そのまま携帯は
音をたてて
落ちて行った。