どうして・・
···寄り添える
奥菜先生は········
「それでは」と、言い。
新と美春のそれぞれの前に
書類を置いた。
その書類は、
皆が座る机の前のスクリーンに
写し出された。
その内容は、
川本 新 氏
1、日垣 彩羽さんへ
迷惑料及び精神的苦痛料として
800万円を支払うこと。
2、日垣家への迷惑料として
200万円を支払うこと。
それで、こちらを
と、美春に書類をだした。
内容は、
池谷 美春 氏
1、日垣 彩羽さんへ
精神的苦痛料として
500万円を支払うこと。
二人が呆然としている中
それを完全に無視して
奥菜先生は、
「分割は、あり得ません。
それと支払いをせずに逃げる
そのような事を断じて許されません。
逃げたり無視をするならば
新さんは、新さんの会社に全てを話し
あなたの退職金もしくは
給与の差し押さえを致します。
池谷さんも同じです。
勤めをしていなければ
夫である池谷さん
もしくは、ご両親に報告して
支払方法を考えます。」
と、伝えたので
彩羽は、そこまでと思い
立ち上がろうとすると
私の横から手が出て来て
びっくりして横を向くと
先ほどの杖の女性がいて
口に指をあてた。
私は、そのまま腰を
下ろすしかなかった。
新は、
「美春には無理です。
美春の親には知らせないで下さい。
おれがっ、俺が払います。」
「新、無理だよ。私の分まで。」
二人のやり取りに
たまらない気持ちになる。
その時
« バーン »と、
テーブルを叩きつける音に
みんな、ヒッとなる
「無理です?
俺が払います?
あなた達は、
いったい何を言われているのですか?
あなた達は、自分達が何をしたのか
わかっているのですか?
払うんですよ。
あなた達は、無理だとか言える
立場ではないのですから
わかりますか?」
と、二人を小馬鹿にしたように言い
さらに
「あなた、池谷さんも
払えないなら、
親に頭を下げるしかないでしょう。
綺麗事を言える立場では
あんたらはないんだよ。
どんだけの人を巻き込んだと
思ってるんだ!!
どんだけの人を傷つけたと
思ってるんだ!!」
と、鬼の形相で言う奥菜先生。
新は、何かを言いかけるが
「てっちゃん!」
と、私の横の女性が
すると奥菜先生は、
女性を一度見た。
みんなも女性を見ると
「あっ、あの申し訳ありません。
私は、そこの弁護士の妻です。
奥菜 一華と申します。
検事をやっています。」
と、言われて
私が、あたふたしていると
奥菜先生が、
「妻は、若いときに
ひどく辛く苦しい日々を
送った事があり。
妻の存在が
彩羽さんの心に少しでも
寄り添えることができればと
来てもらいました。」
と、言った。
そんな奥様をみると
奥様は、にっこりと微笑んでくれたので
私は、頭を下げた。
奥菜先生の優しさに
私の心が温かくなっていった。