どうして・・
じゅういち
···極寒の北海道
新は、北海道におりたった。
住んでいた街とは、まったく違い
見上げるような高い建物はなく自然溢れる。
寮に着いて
寮の管理の方に挨拶をするが
あまり良い印象ではないようだ。
ここにまで·····流れているのか
と、思ったが
自分の起こした事なんだから
と······思う。
寮は、コンクリートの三階建てだが
2DKの部屋が五部屋(独身者)
後は、出張や短期の社員が入る部屋
と、なっていて
俺と後二名の独身者が今はいるとだけ
説明を受けた。
冬は凍りつく環境なので
泊まり込みの仕事になる為
応援も入るようだ。
仕事が交代制だから
三人が顔を合わせる事は
難しいとの話しだった。
その二人も
俺の事を知っているだろうから
関わりたくないと思っているだろうと
思った。
俺は、寮の管理の方から
俺の仕事についての書類と
シフト表をもらった。
管理室にもシフト表は、
貼ってあるから
それに合わせて食事の準備は
されるらしい。
要らないときは電話がその用紙に記載
するように言われた。
明日は、8時出社となっていた。
俺は、お礼を言って
部屋に入り、既に到着している
荷物を片付けた。
ここは、食事だけは管理してくれる
トイレ、風呂は各自の部屋に
洗濯機も乾燥機もついている。
片付けを終えて
両親(新の中では)へ
近況とお詫びとお礼の言葉を
葉書に書き送る。
池谷さんにもお礼の葉書を書いた。
それが終えてから眠りについた。
各部屋には、小さなキッチン
冷蔵庫がある。
勉強机とテレビ、ベッドもあり
布団は、貸し出されている。
本当に、俺にとっては、
至れり尽くせりで本当に
助かった。
次の日、嫌みを言われるのは
まだ、良いが
遠巻きに嫌な顔されるのはこたえた。
「簡単に裏切るらしいから怖いよな。」
「信頼できない。」と、言われたり
親父を知っている人もいて
「あんな良い人に辛い思いをさせて
人間じゃない。」とも言われた。
挫けそうに····なった。
折れそうにも·····なった。
だが、俺は、我慢して
我慢してひたすらたえて
与えられた仕事を邁進するしかなかった。
ただ····それしか·····な··かった····。
いつも一人だった。
誰も俺に近づかないし
話しかける人もいない
話し方も忘れるのではないかと
思うほどに。
北海道にきて
ふた月が過ぎた。
相変わらずの生活をしている
寮の管理者に会った時に
挨拶をするだけ。
だが····かえってこない···方が多い。
飲みに行くとか
遊びに行くとかもない。
寮と会社の往復のみ。
そんな時に携帯が振動した
北海道に来る前に
持っていた携帯は叩き壊し
新な物を購入した。
それを知っているのは
奥菜先生だけ····
〖代わりないですか?
元気に過ごしていますか?
新さんから預かりました
彩羽さん宛の手紙は
お父様にお渡ししました。
きっと渡して頂けると思います。
一人で大変な思いをしている事
でしょうが。
歯を食い縛って頑張るのみです。
追伸=彩羽さんは日本を離れる事に
なりました。
お体に気をつけて下さい。〗
彩羽に何かあったのかと
心配になるが
俺が···した···
しでかした···事からだと·····思い
ただ、ただ、彩羽の幸せを祈るしか
なかった。
先生のお陰で
また、明日からも頑張ろうと
力が沸いてきた。
先生にも
〖御連絡ありがとうございます。
今は、自分のできることを
ひたすら頑張るだけです。
彩羽さんの幸せを祈り続けます。〗
と、返した。