どうして・・
···美春
美春は·····
バタバタと部屋を片付ける
新を呆然と見ていた。
何を言っても
返事もせずに荷物の整理をする新。
どうせ、直ぐに私の元へ
戻って来るはずと思いながら
ベッドに横になると
そのまま、寝てしまっていた。
翌朝、新に叩き起こされて
「眠いんだから」
「起こさなくても」
と、ぶつぶつ言いながら
ベッドからでてリビングに行くと
知らない人が三、四人いて
びっくりしている中
新に鞄を持たされて
「着替えてこい」と言われた。
「なによ、なんなのよ!」
と、文句を言いながら脱衣場に行く。
着替えて脱衣場から出ると
家具や家電が、次々に運び出されて行き
あっと言うまに部屋の中は
ガランと·····
「私は?私は、どうするのよ!」
「昨夜、話したよな。」
と、呆れ気味に言う新に
「なんで?
これからどこで暮らすのよ?」
と、叫ぶと
新は、今業者からもらった
封筒から10万だけ出して
私へと渡しながら
「住むところぐらい自分で探せ
本当は、お前に一円足りとも
渡したくないけど
野垂れ死にされても後味が
悪いから。
それと、奥菜先生の所には必ず行けよ。
行かなかったら、どうなるか知らないからな
じゃな。」
と、言うと
私を玄関から出して
鍵を不動産屋に渡して
不動産屋に頭を下げて
新は駅に向かって行った。
私には、一言も····なく····
私は、しばらく動けなかったが
「なんなのよ!!どいつもこいつも!」
と、叫びながら
近くのカフェに入り
コーヒーを飲んで
腹だたちさを落ち着かせた。
新が、どこに行ったのかさえ
知らなかった。
行く気持ちは
さらさらなかったが
あの熊を怒らせるのは、
得策ではないと思い
熊の事務所に向かった。
少し時間が早かったからか
事務員の人しかいなくて
お金を払って領収書をもらうと
「もう、用はないよね。
二度と私に構わないで。
と、熊に言っといて。」
と、言ってから事務所を後にした。
はぁ~、清々した
と、思うが····
私が何をしたというのか
と、むしゃくしゃする。
あんな家にさえ生まれなければ
私だって····私だって
自由に生きて·····いけたんだ。
普通の家庭で育ち
友人もいて
楽しく····過ごして····いたんだ
なんで····
どうして·····私だけ····が·····
とも思うが·····
もう、関わらなければ良いんだ、
と気持ちを切り替え
住むとこは、
ママに相談所してみようと思い
今日は早目に出勤した。
不思議と新を追う?
そんな気持ちは
沸いて····こなかった······。。