どうして・・
···音色
律は、クアラ・ルンプルを
出国するときに家具類は
全て廃棄した。
建築士に関する物は、
新しい事務所に搬入ずみだ。
テア様の屋敷には
日用品と服のみ
翌日に運び入れをして
テア様に挨拶をして
事務所に顔を出す。
依頼されている
建物の設計を早速考える
建てられる場所は把握している
回りの環境なども
日本人の誇りを持ち
素晴らしいドイツの景観を
損なわないような
建物にしたい。
次々にアイデアがわいてくる
簡単に絵にしていく
気がつくと22時を過ぎていて
エマさんに連絡して帰宅する。
あの日から
彩羽に会えない日々が続いている。
エマさんが作ってくれた料理を
食べ終えて
温室に入る
今日も彩羽は
ここで過ごしたのだろうか
ピアノ前に座り
鍵盤に触れる
目を閉じて···彩羽を感じながら
音を奏でる
律は、ピアノを習っていたことがあり
彩羽には、及ばないが
多少はひける
「彩羽の音じゃない。」
自分の音にがっかりしながら
自分の部屋へと戻って行った。
彩羽は、ピアノの音色····と
思うが律だとは思っていなかった。
テアは、寂しげな律の音色に
ため息をついていた。
家に置いたからと
そうそう·····
うまくいくものではないなぁと
温室は防音には、なっているが
微かな音色は皆の耳に届いていた。