どうして・・

···今は、無理でも


先輩の結婚式に向けて
日本に帰る日が迫り、
心待ちしている彩羽が
時より切なそうな顔をする。

聞いたら答えてくれるかも
知れない。
だが、話せることなら
話すはずだから
俺に関した事ではなく
日本に関しての事だと思った。

だから、彩羽から目を離さずにいた。
奥菜先生の元で
それがわかった。
なるほど·····

本当に俺の大事な大切な
愛しい妻は、心優しくて
またまた、惚れ直しちゃう。

自分をあんな形で
裏切った男の謝罪の手紙なんぞ
破り捨てれば良いものを

奥菜先生は、
「持っていると
この先も悩まれるでしょう。
いかがですか、私が持つと言うのは?」
と、言った。

彩羽は、はっと
先生と奥様を顔をあげて見ると
二人は、優しい眼差しで彩羽を見ていて
彩羽は、何度も頷いていた。

俺は、
「先生、一華さん
本当にありがとうございます。
先輩と理恵さんとの結婚式
どれだけ楽しみにしていたかわからない
彩羽が、日本へと帰る日が迫る中
時々、切ない顔をしていました。

私が聞けばきっと答えると思います
ですが、聞かないと言わないと
言うことは、私に関する事ではなく
日本に関する事だと思い見守って
いました。

彩羽は、まだ日本に対してと
結婚やウェディングドレスの
ワードにうまく対応ができないのです。」
と、言うと
彩羽は、びっくりして
「律、気づいていたの?
·····心配かけて·····ごめんな···さい。」
と、言うから
俺は首を横にふり
「彩羽が、自分で何とかしたいと
思っているなら、それを見届けようと
思っていたからね。」
と、伝えると
彩羽は、
「ありがとう。」
と、言った。

先生と一華さんに
「これでしばらく
日本へは帰らないつもりです。
もう少し彩羽が克服できるまで。

きっと、彩羽は前進できます。

だから今は、
私の腕の中にいれば良いと
私は思っています。」
と、言うと
先生と一華さんは、
「あなたが、いれば心配ないですね。」
と、言ってくれたから
頭をかいていると
彩羽が、
「律は、ドレスを選びに行けない私に、
お店から何点か選んで届けさせ
おばあちゃまと一緒に選ばせて
くれたのです。
それに、試着もうまく出来ない
私にスタッフの人達と
一緒に入り
私を抱き締めていてくれました。
もちろん、スタッフの方の邪魔に
ならないように。

何時間もかかりましたが
二点ようやく決まりました。

私には、もったいない程の夫です。
だから、いつまでも弱いままの
私でなくなるように
頑張りたいと思っています。」
と、言うと
一華もグレースも千亜季も
涙を流していた。

どれほど彩羽の心が傷ついたのかと
皆、考えてしまった。

「彩羽も近い内に
母となります。
自分の娘が嫁ぐまでに
少しでも軽くなっていたら
良いと私は思っています。
でも、無理なら無理で
構いません。
嫁にやらなければ良いだけだから。」
と、律が言うと
「ええっ、せっかく良い話しだったのに」
と、千亜季さんに言われて
みんなで大笑いした。
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