どうして・・

···開放して下さい


律は、意識のない彩羽を抱き上げて
「お義父さん、お義母さん
病室に戻りましょう。
佑、ママは大丈夫だから
じいちゃんの車イスおしてくれるか?」
と、言うと
佑は、頷いて母親と一緒におす。
「親父戻るよ。
お義母さん、彩音をお任せしたままで
申し訳ありません。」
と、言うと
彩は、
「大丈夫よ。」
と、言った。

律は、彩羽を抱いたまま振り向き
「先生、一華さん
ご心配とご配慮ありがとうございました。
また、改めて。」
と、言って頭を下げた。

「すまないな。俺が一言伝えて
おいたら、違っていたかも。」
と、言うから
「そんなことはありません。
先生と一華さんは、
彩羽にとって、とても大切で
心から尊敬している方々ですから。」
と、言うと
彩羽をとても大事そうに抱き締めて
頬にキスをした。

律は、再度頭を下げてから

去り際に
ちらりと新と美春を見て
「もう、彩羽を解放して下さい。」
と、二人に言った。

新も美春も
まだ、ダメなんだ
自分達の行いは許される事はないのだと

どんなに彩羽を苦しめているのか···
いたのか····
と、心が痛かった。

だが、律の言葉に
彩羽も二人から解放されたい
二人も彩羽から解放されなさい
そうでないといつまでも
囚われたまま
だと、言われたように思い

二人は、律の後姿に頭を下げていた。
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