どうして・・
···長い時間が
病室に戻ると少しして
彩羽の意識が戻って
佑は、彩羽に飛び付いて
涙を流した。
意識が無くて心配したのだろう。
彩羽は、律から降りて
佑を抱き締めた。
「ごめんね、心配かけて。」
と、言うと
首をふりながら
抱きついていたから
背中をポンポンとする。
両親達も心配顔だったから
「心配おかけしました。」
と、頭を下げると
ホッとした顔をしてくれた。
その時、彩音が目を覚まして
「パっパ!!」
と、言って律に手を出すから
「彩音。」
と、律は彩音を母から
受け取り頬ずりをするから
彩音がきゃっ、きゃっ笑って
病室は、明るくなった。
佑も、やっと泣き止み
律は、お義父さんに
「若くないのだから。」
と、文句を言うから
お義父さんは、頭をかきながら
「そう言うなよ。」
と、言って皆を笑わせた。
帰りに、お義父さんが
「俺が、怪我したばかりに。」
と、言うから
首をふりながら
「ちょっと変な言い方ですが
お義父さんが怪我をしてくれたから
日本へと帰れて佑や彩音を
お義父さん、お義母さん
父や母に合わせる事ができました。」
と、嬉しそうに言うと
「たまには良いか。」
と、お義父さんが笑って言うから
律とお義母さんは呆れ
父と母は、お義父さんの優しさに
微笑んでいた。
律の時差負担を思い
日垣の家へと帰った。
律は、車の中で
彩羽の手を握りしめて
彩羽の肩に頭を置いて寝ていた。
彩羽の反対側には佑が座り
彩羽の膝に頭を置いて寝ていた。
彩音は、母の膝で
楽しそうに父と母と話していた。
奥菜先生と一華さんに
嫌な思いをさせなかっただろうか
新と····
美春は····
はぁ~とため息が······もれると
律がぎゅっと手に力をいれて
「彩羽。もう過去から
解放されたら良いよ。」
と、言われて
解放?かい····ほ···う····?····
過去····を···
「うふふっ····
そうね。そうだね。
ありがとう、律。
簡単な事だったんだ
本当に···簡単な事···だったんだ。」
「いや、今だからだよ
彩羽は、今まで苦しんできた。
お義父さんもお義母さんも
それは同じだよ。
もう、きっと彩羽の中には
二人はいなかったはずだ。
佑が出来、彩音が出来
おばあさまを始め、矢島さんやエマ
事務所の皆
日垣の両親と家の両親
みんなから大切にされて
彩羽もみんなを大事にしてきた
そんな中で
彩羽の中では二人は忘れられて
いたんだよ。
だから、今でないと
いや、今だから
俺もこの言葉が言えるんだ。
ずっと長い間
彩羽は傷ついていたからね。」
と、言ってくれた。