お前がいれば、それでいい


「お前とお揃いだな?」




ん?···あ、そっか



私が雨に、美しいだから




「雨」がおそろいなんだ



ちょっと胸がほわほわする


こんな感じ、初めてだ




「じゃあまず必要なモンを買いに行くか」



!?



《今からですか?》




慌てて打ち込み、鬼月さんに聞く




「今、11時だぞ?どっか痛むならまたにするが······」




《痛くはないです。でも、鬼月さん。服はどうすればいいですか?》




「紫雨でいい。次鬼月さんって呼んだらキスだからな。敬語もダメだ」




キス?



え!?




《紫雨····分かった。服は?》



今着てるボロボロの1着しか持ってないし···




「俺の着て行けばいい。ちょっと待ってろ」




紫雨のって·····大きすぎるんじゃない?





それにしても···今日1日で色んな感情を知ったな




いや、まだ1日の半分しかたってないんだけど、



ガチャ



「これ、着とけ」



ドアから入ってきた紫雨が手渡してきたのは、黒いロングシャツとベルト




「その長さならワンピースでもいけるだろ?ベルト巻けば大丈夫だ」



おお、なるほど



《分かった。でも、下着は?》




元々つけていなかったからないんだよね



「·····サラシでいいか?生憎女の下着は持っていない」



·····うん。



持ってたらなんか怖い




《大丈夫。》



「じゃあちょっと手伝ってくれるか?」



手伝う?



何を?



そんなことを考えていると、紫雨がいきなり服を脱ぎ出した



!?



上半身を脱ぎ終わったシウは·····綺麗だった



肩にはツツジが咲き乱れていて、蝶が数匹舞っている



目が釘付けになった




「怖いか?」




優しい声で尋ねてきた紫雨の言葉に、私は思いっきり首をふった



き·れ·い


伝わったかな?



急いで伝えたかったから口パクでやったけど



「フッ····そうか。サラシ外してくれるか?」



紫雨は胸に巻いているサラシを指さして言った



うん、と頷き、サラシに目をやる



端っこどこだろ?




えっと····



ここ·····じゃなかった




ここ······でもない




見えないから肌との距離が1cm位の所まで顔を近づけてやってみる



だけど全然見つからない



どこだ···?
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