ニセモノの白い椿【完結】
episode6 ニセモノの私にくれたもの
”完全なる美しさ”
”至上の美”
”申し分のない魅力”
白い椿の花言葉は、まさに、外から見える私を表しているようで。
人から『美しい』と言われるたびに、そのイメージに応えようと装って来た。
それはそれは必死になって懸命に、時には自分をすり減らすほどに。
だから、私は理解している。
自分が美しい人間なんかじゃないということ。
装っている時点で偽りなのだ。
容姿という器の中で、いつも醜い自分がみっともなくもがいていた。
私は、完全な美しさを装う、ニセモノの白い椿だ――。
偽物はニセモノでしかない。
誰もニセモノの私に気付いてくれない。そう思っていた。
でも、ニセモノの私に気付いてもなお、受け入れてくれた人がいた。
だからかな。ニセモノには変わりないけれど、ニセモノなりの自分を、ありのままに受け入れられるようになった。