赤いゼラニウムが咲く頃に
「うっ、、あっ、、、いた、、い、、、、、」
日和は突然蹲る(うずくまる)と、絞り出すような声でそう言った。
「日和?大丈夫か?とりあえず中断だ。」
しかし、日和は起き上がろうとしない。目も瞑ったままだ。
「日和?起きてる?」
すると、小さな声で、助けて、と一言だけ言うと、突然起き上がった。
「っっっっはっ!助けて!殺される!」
日和は突然、起き上がったかと思うと暴れ始めた。
「日和!落ち着いて!大丈夫!僕しかここにはいないでしょ?!」
日和の顔を見ると、目が虚ろになっていた。
ダメだ、僕の声は聞こえていない。未来と現実が混同しているんだ。未来に感情が入りすぎている。
一縷は深呼吸し、静かに話しかけた。
「僕の名前は一縷。覚えてる?一緒にお花植えたりしたよね?君の名前は日和。今見ているのは誰かの未来だよ。君に起きていることじゃない。こっちに戻っておいで。」
同じことを何度も伝え続ける。すると、暴れていた日和は落ち着き、虚ろな目に光が戻った。
「はぁ、、、はぁ、、、一縷?、、、、そっか。、、、ここ、、、、私の部屋だ、、、。」
ひとまず落ち着こうと、ベッドに腰かけ、ゆっくりお茶を飲む。
10分ほど経つと、日和が見た未来を話し始めた。