赤いゼラニウムが咲く頃に
【一縷side】
日和は、難しい顔をして、先程見えた未来の話をしてくれた。
犯人が2人の可能性。どこにいるかは分からなかったそうだ。話の内容は、途切れ途切れだったが、誘拐する子を選んでいたであろう、ということ。
そして、もう1つ見えた未来には、いつも話しかけてくれるクラスメイトが、襲われているシーンだったということ。
「そのクラスメイトであると断定できる理由は?」
日和に問いかけた。
「その子は、私のことを唯一、”日和ちゃん”って呼ぶの。私のことを知っている人はみんな藤とか、藤さんとかだけど、その子だけは下の名前で呼んでくれるから。それに、声が全く同じだったし。あと、私と同じ制服着てたから。」
なるほど、判断材料としては、申し分無いということか。
他には、何かヒントになりそうなものは無かった?と聞く。
「煙突、、、煙突!!煙突が見えたの!!煙がでてなかった!!そうか!!そうだよ!!私天才かも!!!!」
待って待って、と日和を止める。
「何の話?煙突が見えたの?」
学校の近くに銭湯があり、その銭湯は、毎週月曜日が休みなんだそう。日和が見た未来には、その煙突が見えたのだが、煙が出ていなかったのだという。湯気のことだろう。つまり、湯気が出ていないということは、犯行が行われるのは月曜日ということになる。
「銭湯の名前がちゃんと書いてある煙突だったから、間違いないと思う!銭湯周辺の煙突が見える建物を調べれば、犯人が見つかるかも!」
日和は興奮しているが、何か引っかかる。
なぜそんな学校から近い場所なのだろうか?学校周辺は事件のこともあってパトロールが強化されているはず。そんな場所で犯罪なんて犯したら捕まる可能性は高くなる。
そして、日和には言っていなかったが、犯人は女子高生を誘拐し、衰弱死させた後、必ず遺体の側に花を置くのだ。
理由はわかっていない。
わかっているのは、誘拐された女子高生の通っている、高校の花壇から抜き取られているということ。
しかも、いつも同じ花なのだ。
それもまた疑問が残る。どの高校もなぜ、同じ種類の花を植えているのだろうか。
待て。ということは、この間日和と一緒に植えた花。事件の時に置かれていた花と同じだ。
夾竹桃という花。
夾竹桃の花言葉は、注意、危険、用心