赤いゼラニウムが咲く頃に
狙われるのは、女子高生
カーテンの隙間から差し込む、眩しい光。
春の心地よい暖かさ、桜の香り、お日様の匂いがする風。
眩しいなあ、、、、、、、私はまだ寝てたいんだけど、、、今何時、、、、、、、、、
えっ、、、
「お昼すぎてんじゃん?!寝すぎた!!」
慌てて飛び起きて、あっと気づく。
でも今日土曜日じゃん。
「焦った〜、、」
授業初日から遅刻はさすがに怒られる。休みでよかった。
でも、部活には行かないと。
急いで身支度を整える。
リビングを覗くと、お母さんがテレビを観ていた。
テレビからニュース番組の音声がうっすらと聞こえる。
~女子高生連続誘拐事件、8人目の被害者が出ました。いずれも犯人の手掛かりは無く~
「お母さぁーん。部活行ってくるね。」
「やっと起きたの?お昼は?」
「帰ってきたら食べる〜。行ってくるね〜。」
そう伝えながらドアを閉める。
行ってらっしゃい。と少し遠い声でお母さんが言っているのが聞こえる。
家を出て学校へと向かう。
気持ちのいい風が頬を撫でる。
今日は私一人かな〜。
後ろから着いてくる何かに、私は一切気が付かないまま、呑気なことを考えて歩いた。