赤いゼラニウムが咲く頃に


【一縷side】




実は、一縷は園芸とか、植物の書物を読むのが好きなのだ。



家はあまり広くないため、大きいものは育てられないのだが、花やプランターで育てられる野菜なんかを栽培している。



日和が園芸部だったなんて。話が盛り上がりそうだな。



日和がこちらを向き、目を見開く。




「一縷、埋めるの上手じゃん!」



「埋めるくらい誰でもできるよ。」



ふふっ。と笑いながら言うと、日和は真面目な顔で返してきた。



「そんな事ないよ!結構雑に埋める人もいるんだよ。手直しするのいつも大変だったんだから。」



「そっかあ。日和はえらいね。」



「えっ、なんで?」



「だって、ちゃんと手直しするんでしょ?植物のことわかってないと、どう手直ししていいかもわからないだろうし、ちゃんと勉強して育てているんだね。」



「まぁ、好きだから調べたりはしてるけど。ありがとう。」



照れてるのか、素直なのか、よくわからないけど、嬉しそうな顔。



でも、この子も直に___



「あ、芋虫。」



「へ?」



「いや、肩に芋虫ついてるよ。」



、、、芋虫?!



「えっ!とってとって!助けて!」



「一縷ってそんな大きな声出るんだねっ(笑)っはは(笑)落ち着いて(笑)」



お腹を抱えて大笑いしている日和をよそに、僕はひたすら芋虫を振り落とそうとしている。



「ほんとに!頭に登ってきたらどうするの?!とって!ほんと無理!」



「わかったわかった。あー面白い(笑)」



そう言って、芋虫を取ると、花壇の中にそっと降ろしてくれた。



「あー、ほんとに怖かった。とってくれてありがとう。」



「一縷ってなんか、クールな人だと思ってたから、新鮮で楽しかった。」



「新鮮って。まだ会ったばっかりだよ。」



「まあ確かに。でも初めてって感じしないんだよね。」



「そう?そんなこと言われると嬉しいなあ〜。」



「気を使わなくて済むってことね。」



「昨日会った時から思ってたんだけど、日和って冷たいよね〜。」



「そう?」



なんでこんな僕に冷たいんだ、、。


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