契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
昨日、一抹の不安が過ったけど、私が思う以上に母の具合は悪かったんだ。
こんなコトになるんなら、もっと病院に足を運ぶべきだった。

私はタクシーで病院に向かう。

病院のエントランスでは葉月さんと黒崎さんが待っていた。

「杏南様!!」

「杏南ちゃん」

「お母さんは?」

「今、ICUに居るわ…」

「お父さんと浩平兄も一緒なのね…」

「うん」

私は二人の案内でICUに向かった。

「お母さんは!!?」

廊下の待合のソファで項垂れていた浩平兄に問いかけた。

「先ほど、息を引き取ったよ…杏南」

「嘘よね…?浩平兄・・・」

「嘘じゃねぇよ…本当だ」

「嘘と言ってよね…嘘だって…」

私は人目を憚らずその場にしゃがみ込み、号泣した。

「杏南・・・」



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