契約ウエディング～氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う～

過労

母が亡くなり、父は酒浸りの毎日だと浩平兄から訊き、黒崎さんに言って実家に立ち寄って貰った。

店は店休日でもないのに、閉まっていた。
実家に行けば、浩平兄はリビングで競馬新聞を読んでいた。

「お父さんは？」

「パチンコかな？」

「葉月さんは？」

「実家に帰らせた…」

「どうして？」

「色々とあって・・・」
浩平兄の言葉は歯切れが悪かった。
「そうなんだ…で、今日はどうして休みなの？」

「開店しても、パンは全然売れない…それにこんな張り紙が張られていた…」

浩平兄は私に張り紙を見せた。

店に対する誹謗中傷が書かれていた。隣に居た黒崎さんも張り紙を覗き見た。

「これは酷いな…浩平」


「母さんが亡くなったから…余計に酷くなっちまって…父さんとも話してる…店閉めようかって」

「閉めてどうするの？」

「そうだな…俺は葉月の実家に行って…ペンション手伝おうかと思う」

「お父さんは？」

「父さんは…どうするかまだ訊いてない…」