契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
投げ槍だった浩平兄も俊吾の提案を受け入れ、父と検討すると色よい返事をした。
私と黒崎さんも安堵し、三人でマンションへと帰っていく。

「俊吾、ありがとう…」

俊吾は何も言わず、いきなり私の肩に頭を擡げて来た。

「俊吾?」

私よりも体温が低いはずの俊吾。
この時ばかりは熱く感じた。

私が呼んでも返事がなく、彼は意識を失っていた。

声にいつもの覇気がなかった。今思えば、彼は体調が悪かったんだ。

「黒崎さん!!俊吾、熱があって意識がないんです!!急いで病院に行って下さい!!」

「分かりました…」

黒崎さんはハンドルを切り、コンビニの駐車場に入って、車をUターンさせ、この地域の救急病院に指定されている『清友会総合病院』まで走った。

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