契約ウエディング～氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う～

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唯の過労だと診断されながらも、私も黒崎さんも気が気でなかった。

「仕事も忙しく、心労も重なったんでしょうね」

「そうね…」

工藤社長の娘の亜優さんの自殺未遂。
充子さんから邸宅に呼び出され、話をされるまで全く知らなかった。
俊吾は言うには、自殺未遂じゃない・・・睡眠薬の飲み過ぎただけだと…どちらを信じればいいのか迷いながらも、彼の言葉を吞んだ。


後で考えれば、俊吾は私に余計な気苦労を掛けさせまいと嘘ついたのかもしれない。

彼は他人を思い遣れる人だから。

「杏南様、私は部屋に戻って、俊吾様の入院用の荷物を用意して、お持ち致しますので、俊吾様のそばに居てあげてください」

「分かりました…黒崎さん、ありがとう」

「これが私の仕事ですから…」

黒崎さんは一笑して、病室を出た。