契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
一端邸宅に戻った黒崎さんが午後三時過ぎ、再び病室に入って来た。
「君は…亜優さん…」
黒崎さんは工藤社長の令嬢・亜優さんを伴っていた。
「杏南様もいらしゃいますし、亜優様をお連れするのはどうかと思いましたが…亜優様がどうしてもお二人に会いたいと仰ったので、お連れしました」
「杏南と君を会わせるワケにはいかない…君は杏南に対して何を言い出すか…分からない」
「私は別に恨みゴトを言う為に…俊吾さんの見舞いに来たワケではありません…」
「じゃなんだ?」
俊吾は私の手前も亜優さんを冷たくあしらった。
「私は今まで…両親の機嫌を伺ってばかりで、貴方との結婚も父に勧められるまま受け入れました。
でも、それではダメだと秘書の梶原さんに言われ…二人で挙式の当日に駆け落ちをしました。
だけど、彼は私のコトなんて…愛してなかった。自身の横領を隠す為に私を連れて逃げただけ。私はまんまと彼に利用され、捨てられました」
「その話は貴方の母親から訊きました。酷い男ですね…」
亜優さんは私を一瞥して、頷いた。
「酷い男です。でも・・・俊吾さんにも同じコトを言われ…ようやく私…今のままではダメだと気づきました」
「君は…亜優さん…」
黒崎さんは工藤社長の令嬢・亜優さんを伴っていた。
「杏南様もいらしゃいますし、亜優様をお連れするのはどうかと思いましたが…亜優様がどうしてもお二人に会いたいと仰ったので、お連れしました」
「杏南と君を会わせるワケにはいかない…君は杏南に対して何を言い出すか…分からない」
「私は別に恨みゴトを言う為に…俊吾さんの見舞いに来たワケではありません…」
「じゃなんだ?」
俊吾は私の手前も亜優さんを冷たくあしらった。
「私は今まで…両親の機嫌を伺ってばかりで、貴方との結婚も父に勧められるまま受け入れました。
でも、それではダメだと秘書の梶原さんに言われ…二人で挙式の当日に駆け落ちをしました。
だけど、彼は私のコトなんて…愛してなかった。自身の横領を隠す為に私を連れて逃げただけ。私はまんまと彼に利用され、捨てられました」
「その話は貴方の母親から訊きました。酷い男ですね…」
亜優さんは私を一瞥して、頷いた。
「酷い男です。でも・・・俊吾さんにも同じコトを言われ…ようやく私…今のままではダメだと気づきました」