契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
雄平君が代わりに俊吾様の消すはずの蝋燭を吹き消して、黒崎さんがケーキを切り分けていった。

テーブルには『ひなたぼっこ』の食パンで作ったサンドイッチや私と黒崎さんで焼いたローストチキンにシーザーサラダ、フルーツポンチが並んだ。

「どれも美味そうだな…」

私は俊吾にサンドイッチを食べる姿を見せた。

「これがハムサンドよ。私が作ったの…」

「日本に戻ったら、作ってくれよ、杏南」

十三時間の時差のあるニューヨークは朝の八時。
「そろそろ出社の時間だ…主役は抜けるけど…皆で楽しくやってくれ」

俊吾はそう言って、パソコン画面から姿を消して出社に準備を始める。

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