契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
「本当に消えちまったな…」

「はい」

浩平兄は缶ビールを飲み干し、ローストチキンを口に運んだ。

「俊吾の知り合いのコンサルタントが店を訊ねて来て…具体的な立て直し方法を伝授してもらった」

「へぇー…」

「やっぱり…引っ越すの?」

「そうだな…」
浩平兄は葉月さんと顔を合わせ、頷き合う。

「お父さんは?」

「父さんも了承してる…此処に居るとやっぱ・・・母さんのコト想い出して辛いらしい…」

「でも・・・最後はちゃんと地元の人達にさよならの挨拶はするつもりだ…」

「そっか…」

「寂しくなるけど…仕方がないな…」

「まぁ、お前はこれからもこの街に住むんだろ?杏南」

「うん…」

俊吾がこの街に住む限りは私も此処に居る。

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