契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
再会
『東亜医科大付属病院』の『プレママ教室』で知り合った大手GMS『レオン』の神楽坂豊(カグラサカユタカ)社長と奥様の睦月(ムツキ)夫妻を部屋に招待して、ホームパーティー開いた。
睦月さんと私の出産予定日は近く、互いに大きなお腹を摩り、ソファに腰を下ろしてお喋りをした。
「でも、驚いた…長谷川副社長の部屋に柊さんが居るなんて…」
柊さんは俊吾の依頼を受けて、『ひなたぼっこ』を再建してくれた優秀なコンサルタント。
ひと月ぐらい前から出向で俊吾のそばに付いて、私達の部屋に出入りしていた。
「柊さんとは仕事でお知り合いですか?睦月さん」
「まぁね…」
柊さんは黒崎さんと共に黙々とキッチンでパーティー料理の準備をしていた。
俊吾と二人でテラスに出て、話をする神楽坂社長は時折、キッチンの方に目を向けた。
「さっきから気になるんですけど…睦月さん」
「何?」
「豊さんと柊さんって何かあったんですか?」
「え、あ…まぁ…色々とあったんだけど…私の口から言えないかな?」
睦月さんは口を噤んでしまった。