契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
恋の病

俊吾side-

「じゃ俺は帰るよ…」

「うん」

俺は杏南を病室に送り届けた。
「犬のお産とは言え、大仕事を成し遂げたんだ…ゆっくりと休みといい」

「はい…」

俺はパパ、杏南はママとなった。

「役所には明日にでも、俺が出生届を提出しておくよ」

「うん」

俺は杏南の唇にそっとキスを落とし、病室を出た。


名前は、『俊樹』で…いいよな…


「あの二人…絶対に離婚してるわよ…」

「!?」

「・・・互いに余所余所しいし…」

「原因は流産よね…」

「屋上で泣いていたらしいじゃない…槇村先生」

「そりゃ、自分の子供救えなかったんだもん…当然よ…」

俺は偶然、看護師二人の会話を盗み訊いてしまった。

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