契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
「色々と大変だったんですね…」

その怒りの矛先は逃げた亜優さんに向けられるモノで私じゃないのに。
愚痴を訊かされてもね…
でも、彼は新婦の希望を訊いてハネムーンは彼女の行きたい場所に決めていた。


「今更、キャンセルしてもキャンセル料は戻って来ない」

「それは当然ですね…」

「だから、杏南君が俺とハネムーンに出かける…いいなっ。ちゃんと明日会社にはそう伝えてくれ」

「これが日程表だ…」

彼は私に日程表を渡した。

突然、結婚して来週ハネムーンで一週間会社を休む。

余りにも唐突な話で私はどう説明すればいいのか?分からなかった。

「でも・・・課長にはどう説明すればいいですか?
「リバティジャパン」の長谷川社長が新婦に逃げられ、私が代役で新婦になり、そのまま結婚、そして来週はハネムーンに行って…半年以内には妊娠しますと言えばいいんですか?」

「何で!?そこまで具体的に説明するんだ?杏南」

俊吾さんは二つの双眼で私を睨んだ。

「じゃどう言えば…」

「分かった…俺が「ハートフル」に足を運んで濱部社長に説明する…君は一切何も言うな…分かったな。杏南」

「えっ?どうして?濱部社長なんですか?」


「濱部社長からの命令なら、君の上司も文句言えないだろ?」

「そうかもしれないけど…」
ウチの社長は口が軽いから瞬く間に私と俊吾さんの結婚がバレてしまう…
「濱部社長、口軽いですよ…」

「知ってる…俺達は別に疚しいコトをしてるワケじゃない。結婚しただけだ…もしかして、社内に結婚がバレて欲しくない相手でも居るのか?」

「え、あ…」

実は居たりして・・・





< 36 / 224 >

この作品をシェア

pagetop