契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
翌日、私の朝のルーティンが大きく変わった。
「黒崎さん?」

「おはよう御座います、俊吾様、杏南様」

私達が起きて来ると既に黒崎さんが朝食の準備を済ませていた。

「朝食の準備は出来ております。お召し上がりください」

黒崎さんの作った朝食は炊き立てのご飯、納豆に漬物、薄揚げとわかめの味噌汁、鮭の塩焼き、デザートにオレンジが添えられていた。

「食後のコーヒーは希望で」

「君も仕事している。平日の夕食の準備は黒崎に頼んだ」

「休日の食事作りは杏南様に一任しますで、お願いしますね・・・」

「はぁ・・・」

私達は昨日と同じ定位置に腰を下ろした。

「黒崎、杏南が俺とハネムーンに行くコトを了承した。急遽旅行会社に電話して、飛行機に搭乗する名前の変更を頼んでくれ」

「承知しました…」

「俊吾さん…本当に「ハートフル」に来るんですか?」

「あぁ、俺だって恥ずかしい。でも、こうなってしまったのは俺のせいだ。絶対に休みを取らせる。いいなっ。杏南」

「俊吾様…そうやってプライド捨てて杏南様の為に骨を折るなんて…愛し始めてる証拠ですね」

「・・・俺は別に…」

俊吾さんは黒崎さんの言葉に語尾を濁した。

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