契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
地下駐車場に行くと俊吾さんの顔を見るなり、短い髪をオールバックにセットした男性が白いレクサスから下りて来た。
「おはようございます、社長」
「あぁー紹介する俺の秘書の淡路だ」
「淡路啓二(アワジケイジ)です。よろしくお願いします、奥様」
「あ、こちらこそ」
「これが今日のスケジュールです」
俊吾さんにタブレットを渡した。
「分かった。車内で確認する。
「ハートフル」の濱部社長にはアポ取ってくれたか?淡路」
「はい取りましたが…午前中は会議で無理だと言われたので、午後二時にアポを取りました。それでよろしかったですか?」
「あぁ~そっか…仕方がないな…杏南、それとなく課長には君の方から少し説明しておいてくれ」
「えっ!?どうやって説明するんですか?」
「…下手なコト言われて…拗れたら、困るな…何も言わなくても…俺が行くまで黙っててくれ」
「黙っていればいいんですね…」
「あぁ」
私達は後部座席に乗り込んだ。
淡路さんが車のドアを閉め、運転席へと乗り込んだ。
柔らかな皮張りのシートにカラダを預け、出発。
坂を下り、都心に向かう幹線道路へと出た。
ファミレスにホームセンター、コンビニ…パチンコ店と私は車窓を眺める。
隣に座る彼はタブレットでスケジュールを確認、社内メールをチェックしていた。
ブルーのストライプの刺し子調のドビー柄の半そでシャツに細身のネイビーのスラックス姿。
ノータイで爽やかなクールビススタイル。