契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
「君は何処行くの?長谷川さん」

「私達はまだ・・・入籍していません…」
相馬部長とエレベーターホールで鉢合わせした。

「披露宴の列席者の中に相馬部長も居たんですか?」

「まぁね…高砂席に座ってる君を見て…小泉さんに似てる人がいるなぁーと不思議に思っていたんだ」

「色々とありまして…」

「俊吾から訊いた…」


「俊吾さんと知り合いなんですか?」

「まぁね・・・異業種交流会で知り合った仲だ。その関係で披露宴にも呼ばれた」

「そうだったんですか…」

「総務部のキレイ処が奪われて…残念だよ…」

「へっ?」

相馬部長の言葉に妙な声を出してしまう。

「小泉さん、ウチじゃ明るくていい子だって評判良かったのに」

ウチの花形の海外事業部の人達がそんな風に私のコトを見ていた。その意外な言葉に驚きが隠せなかった。
人のモノになった途端、良く思える。隣の芝生は青く見える現象の一つかもしれないけど。
「来たよ」

チンと音を立て、エレベーターが停まり、ドアを開いた。

私が先に乗り込んだ。

「ありがとう…」

部長が乗り込むと閉のボタンで扉を閉めて、四階の企画室、七階の海外事業部のボタンを押した。
「サンキュー小泉さん」



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