契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
名作『ローマの休日』の有名になったスペイン広場。
夕暮れの時の広場はライトアップされていた。

彼はiPhoneを自撮り棒に取り付けた。

「ほら、撮るぞ、杏南」

「うん」

私は俊吾の隣に立つ。

「もっと寄れよ」

彼は私の肩を抱き寄せ、密着させる。
触れ合う彼の腕と私の肩。肩に熱に帯びていく。
彼は平然とiPhoneでスペイン広場をバックにツーショット写真を撮った。

そして、二人で百三十五段ある広場の階段を昇った。

息を切らせながら、階段を昇り切った場所に見えるのは『トリニタデイモンティ教会』
遠くには『サンピエトロ大聖堂』のクーポラが見え、オレンジ色に染まったローマの街並みが一望出来た。

私はスマートフォンで街を撮影する。
彼はそんな私の姿を撮って笑っていた。

結婚=契約と考える俊吾。
彼の両親のように子供が二十歳になれば、離婚するんだろうか?

今の私は永遠に彼と一緒に居たいと思っていた。

< 57 / 224 >

この作品をシェア

pagetop