契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
キスしても、一緒に寝ていても大丈夫なのに…
俊吾に組み敷かれ、酒井先輩に押し倒された時の記憶が蘇った。

「ゴメンなさい…折角両想いになれたのに…」

「いいよ…別に…」

「俊吾…」

私は申し訳なくて瞳に涙が溢れた。

「杏南…俺がいいって言ってんだ。泣くなよ…」

俊吾は優しく私の涙を指先で拭い、抱き締めてくれた。

すると彼のビジネス用のiPhoneが振動する。

「すまない」

彼はiPhoneを手に取り、通話ボタンを押した。

「もしもし・・・俺だ・・・どうした?」

彼は私から離れ、窓際に歩み寄って行った。

もう四年の前の話なのに…
私は…
このままじゃ俊吾と子作りなんて出来ない。

< 63 / 224 >

この作品をシェア

pagetop