契約ウエディング～氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う～

「一回目の診察終わりました」

「どうだった？各務先生は？」

「とても優しくて…話しやすい先生でした…俊吾の高校時代の話も沢山訊きましたよ…」

「俺の話をしたのか？各務先生」

「はい」

「余計なコトを…」

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俊吾は『ランチ、まだだろ？』と言って、最上階のフレンチレストランのランチに私を誘った。

「…トラウマは克服できそうか？」

「あ、はい…」

俊吾の為にも…

「俺の為じゃないぞ。君自身の為だぞ」

時々思う。彼は私のココロを読み取る力あるんじゃないかと。

「俊吾…」

「早く忘れて…ココロから笑える時が来るといいな…杏南」

「うん」

私達は話を中断し、ジャガイモの冷製スープを口に運んだ。

そして、前菜は食用の花弁で彩られた鯛のマリネ。

「食べるのが勿体ないね…」

「そうか？」

「うん」

平日の昼間の都心の街を眺めながら二人で久しぶりの外食を楽しんだ。