契約ウエディング~氷の御曹司は代役花嫁に恋の病を煩う~
「喉が渇いちゃって…」

「そっか」

俺は杏南の分の水をグラスに注ぎ、渡した。

「ありがとう…」

「今夜は…大河さんと食事をしていた」

「充子さんの息子さんですか?」

「あぁ」

杏南は多分知らないだろう。
大河さんの奥さんが酒井亨彦の娘であるコトを。

「大河さんから訊いたんだ。充子叔母様がどうして俺達に子供を急かすのか…」

「えっ?」

「長野に隠居した俺の父親の具合はどうも良くないらしい…」

「…」

「杏南がカウセリング始めたばかりなのは分かってる…でも、周囲がそれを待ってくれないと言うか…」

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