死神は悲しそうにそう言った
悲しいな
「願いを叶えて欲しいなんて言ってはいけない。
願いは自分で叶えるからこそ,価値があるんだ。
子供達に感情移入してはいけない。
子供達の怒りを鎮めるには,誰かが死ぬしか無かったんだ。
同情は,危険なものなんだよ。
死にたいなって思ってはいけない。
君の命は宝物だよ。
いつか,行きたいって思えることがあるかもしれない。
なのに君は死にたいなんて思ったりしたね。
君には生きて欲しかったのにな。
でも仕方ない。
自分で頑張りもせずに,子供達を救いたいと無責任なことを言った。
子供達の声が聞こえたからって,同情して,子供達の味方になった。
死にたいなんて言って,簡単に命を捨てようとした。
君は3つも罪を犯したのだから,このくらいの罪滅ぼしをするのは当たり前。
だから僕は命令されたんだ。
君を殺すように仕向けろとね。
でも,本当に君には生きて欲しかったな。
僕はあいつらの命令にはしたがいたくなかったのに…人間は哀れな生き物だ。
俺は,神にまで認められる,死神なんだ。
だから,人の願いを叶えられる力を持っているんだよ。
つまり,結構凄い人なんだよ?
あぁ…もう聞こえないか…」
死神は悲しそうにそう言い,暗闇の中を歩いて行った。