誘拐は激甘生活の始まりV
「ダミアン様……」

互いの頬が赤くなっていく。ダミアンは杏菜の手を取ったままその場に跪き、優しく杏菜の手に口付けた。

厳かな教会の雰囲気がまるでドラマのワンシーンのようで、杏菜の胸を高鳴らせる。ダミアンはキスをすると立ち上がり、言った。

「ここはね、代々トリクシィ家が結婚式を挙げるのに使っている教会なんだ」

そう言われ、杏菜はあの時図書室で見た本を思い出す。あの本にもこの教会の写真が載っていた。

「この教会なら、素敵な結婚式ができそうですね」

杏菜がそう言うと、ダミアンは「ここで杏菜と式を挙げるのが今の僕の夢なんだ」と頬を赤くしながらはにかむ。

「きっと杏菜のドレス姿、綺麗なんだろうなって……」

「そんなこと……」

俯く杏菜の手が引かれ、杏菜はダミアンの腕の中に囚われる。杏菜が耳を澄ませば、ダミアンの心臓の鼓動が聞こえてくる気がした。

「杏菜、愛してるよ。一生大切にする」
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