身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
めんそ~れ傷心旅行
傘を叩く雨粒の音も、今日は楽し気に聞こえる。
濡れたアスファルトが街灯に照らされ、足元をキラキラと輝かせていた。
そこに散った桜の花びらを目に、傘の中から空を見上げる。
花の雨……桜、散っちゃうな……。
雨に打たれる桜の木には、まだまだ花が咲き誇る。しかし、無数に舞い落ちた桜の花びらは儚げだ。
今朝起きた時からすでに始まっていた雨は、今日一日降り続いている。
明日からは全国的に晴れの予報だったから、まぁいいんだけど……。
鬱陶しい雨の日も気分が上がってしまうのは、明日から楽しみにしている旅行の予定があるから。
明日から三泊四日で、初めての沖縄旅行に向かう。
私、宇佐美佑杏は、生まれてこの方、二十五年、沖縄に行く機会に恵まれなかった。
東京で生まれ、東京で育ち、旅行と言えば伊豆半島か房総半島という近場が定番。
やっと足を延ばして大阪が精一杯だった。
だから沖縄旅行に行こうと決めてからは、ガイドブックが日々の愛読書に。
行きたいところを見つけ、旅行中のプランを考えるのが楽しくて仕方なかった。
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